木の和(なごみ)設計 一級建築士事務所

木とパッシブデザインで創る和みの空間

九州の杉桧を使う・生産者の顔の見える木材の素晴らしさ

暮らしの中の木材の素晴らしさ

私たちの暮らしの中に、木材を取り入れることは、たくさんの良いことがあります。例えば床に杉や桧を使う、、そうすると、肌触りが良く、やわらかく、転んだ時の衝撃吸収率が高い、長時間たち作業をしても疲れにくい、またその調湿性から、梅雨時でもべたつかない、その熱伝導率の低さから冬でもひやっとしない、木の香りを嗅ぐとリラックスするなどなどまだまだあります。ただし ものを床に落とした時に、傷がつきやすい、液体などをこぼした時に、しみになりやすい等があります。傷をあたたかな蒸気をあてて治す、汚れたものはなるべくさっとふき取る、、など、その状況に合った対処が必要になりますが、そのコツがわかると、木はあめ色になり時間と共に美しく経年変化していきます。

何より自然のものが、私たちのもつ五感に刺激を与えてくれ、私たち自身が活性化することに繋がります。子供の成長機に、自然素材に日常的にふれると(その複雑なものにふれる感覚から)五感の感覚が豊かになるといわれています。

冬に触れてもひやっとしない低熱伝導率

資料:木材工業ハンドブックより抜粋 杉材の熱伝導率は、0.087、コンクリートの18分の1

導管という細胞で、高い調質性

アカマツの木小口を顕微鏡で見た画像。「仮導管」という細胞が並んでします。

柔らかさと滑りにくさは安全性と疲れにくさに

木の香りでリラックス効果

木目は目に楽しく優しい

資料:「木を生かす」㈶日本木材整備機構 木材は、光の反射率が低く、めにまぶしくなく、優しい。また紫外線を吸収する。

素足に木を感じる事は成長時の刺激に

九州の杉桧を使う・生産者の顔の見える木材の素晴らしさ

私達まちの暮らしは、山を源流とする豊かな水の恩恵を受けています。良い水をつくるのは、豊かな山の肥沃な土壌、古くから治山治水と言われるように、豊かな平野は後背の山あっての事、この地域の農作物がおいしいのも山が豊かだからこそです。わたちたちの命の根源である水と食べ物を育んでいるものそれは、豊かな森林資源があってこそだと考えています。森林を育む山は、植林したものであれば、下刈り、間伐等 人の手をいれて育てていかなければなりません。育った木を適正な時期に伐採し、新たに植林する。木を植えて終わりではなく、山が循環してこそ、健全な山となります。また最近の自然災害の教訓から、杉や桧だけでなく多様な木を植えていく、また適正な場所に植える、持続可能な未来への森づくりが必要だと考えられ始めました。

日本の山を振り返ってみると、戦後復興で木材需要の高まりから、国は成長の速い針葉樹を植える拡大造林政策を全国の山に行いました。その後、暮らしのエネルギーが薪や木炭からガス・電気に変わるエネルギー革命がおこり、炭の原料となる里山の広葉樹は価値を下げ、当時需要の高かった建築用材の針葉樹を植林することが民間でも加速されることに。その後木材需要への解決策として木材輸入の自由化が段階的に始まり昭和39年に全面自由化となります。

その後輸入材が価格と精度をあげ、取引量を増やしていき、国産材の自給率は一番低い時で、18%まで落ち込むことになりす。そんな中、戦後に植えた針葉樹が伐り時を迎えている森林の蓄積量が年々増えていることが問題になっています。その背景には、日本の森林面積は、国土の約7割。先進国の中でも有数の森林国である日本が安い・使いやすという理由で輸入材を多く使い、国産木材を利用していないという不思議な状態です。長い間育てた木材を市場にだしても安い価格で取引され、それでは生業として成り立たない・・結果、山は手入れをされず日本の山は荒廃し続けているのが現状です。

山の荒廃を停めるには、木を使うこと。国も木材利用促進を様々な角度から進めようとしています。

集中豪雨による表層崩壊

また最近の自然災害の教訓から、杉や桧だけでなく多様な木を植えていく、また適正な場所に植える、持続可能な未来への森づくりが必要だと考えられ始めました。

『日田杉』『小国杉』『諸塚村の杉』『耳納連山の杉』『京築桧』を皆様におすすめしています。

『日田』~田島山業株式会社~の特徴

前職時代に大変お世話になった方お二人からご紹介頂いた『田島山業株式会社 』(大分県日田市中津江村)さん、森を訪れるとあまりの美しさにはっとします。私たちの暮らす福岡県を流れる筑後川その上流、水源のひとつ 森の中に湧き水がわいていました。愛情をもって手入れされたその森は美しく、その森の木材は『幸せな記憶をもった優しい木』だと感じています。ご縁を頂いて田島山業さんの大切に育てられた杉材をお施主さんにお勧めしています。

田島山業株式会社】さんのご紹介

田島山業株式会社は、大分県日田市中津江村の鯛生(たいお)という九州の真ん中の地に根をおろし、鎌倉時代からこの地で森と共に生きてきたと記された古文書があるといいます。大分県日田地方は杉の産地として知られ、ここで育つ杉は、屋久島の屋久杉、宮崎の飫肥(おび)杉とならぶ九州三大美林として有名です。日本有数の林業地である日田地方で最初に杉が植えられた場所として伝えられているのが中津江村。そんな歴史ある日田の地で現代まで林業をつづけ、現在は約1,200ha(東京ドーム約255個分)の森を所有・管理されています。
また森を所有するフォレストオーナーの立場でありながら、山の管理や伐採までを自分たちの手で行われています。このような事が今の林業では難しくなってきているのが現状です。
「なぜ林業をつづけているのですか」という質問に、田島山業さんの答えは、「先祖代々守りつづけてきた森を、家族と同じように強く愛しているから」と。
森と共に歩んだ約800年間の道は決して平坦ではなく、近年を振り返っても、大きな台風による被害や、木材需要の低迷など多くの困難との対峙があり、それでもいつも森を守る方法を必死に考え、しなやかに変化しながら先祖代々山を守ってこられました。森を流れるきれいな水、森から見える満天の星空、生きるための食べ物。多くの恵みを与えてくれる森は、人生の喜びをたくさん与えてくれる家族のような存在と考えられています。
森の喜びも、痛みも共有するフォレストオーナーである田島山業さんは、まさに森と一心同体。長い歴史の中で受けてきた森からの恩を、少しずつ森に還していこうとされています。

在来種のひとつ『ヤブクグリ』を中心に

藪をくぐるときのように腰を曲げてから空に向かって大きく伸びていく木。油分を含み、粘り気が多いことが特長で、木造船の底材にも使われたり、しなやかで強いことから家屋の構造材にも重宝されています。割ってみれば、じわじわと滲んだような木目。見方によっては、ごうごうと燃える炎のようにも、海岸に打ち寄せる波のようにも見えます。かつてはこうした主張のある見た目から、目に触れない部分の構造材などに使われてきましたが、現代ではその木目の美しさを活かした家具や、家の中の目に触れる床材や壁材にも活用され、時の経過と共に味わいが増していきます。(田島山業さん会社概要冊子より)

このヤブクグリは、50 年前の田島山業、現在の先々代社長が「幹の部分は電信柱に。曲がった根元は下駄に」という狙いで植えたものとのこと。しかし 50 年後の今、木の電信柱や普段の履物としての下駄は姿を消しました。それは、100年という時間と向き合う仕事にはよくある話。植えたときに想像した使い道に固執せず、今この時代にあったヤブクグリの価値を再発見していくことをされ、それも林業に携わる企業の使命だと考えられています。

田島山業 株式会社(大分県日田市中津江村)の山
田島山業 株式会社(大分県日田市中津江村)の森 下には青々とした葉わさび
杉の在来種『ヤブクグリ』油分を多く含み、粘り気が多い事が特徴。
天然乾燥された杉の盤木

小国杉』の特徴

熊本県の小国町は、林業、農業、ジャージー牛の酪農などが盛んなことに加え、脇田温泉や杖立温泉等の観光が盛んな町です。その小国町とも、NPO法人九州森林ネットワークの活動で知り合い、交流させていただいています。また小国の山は、私たちに恵みをもたらしてくれる筑後川の上流になります。

小国杉の特性はなんといっても比重が大きい事が挙げられます。小国町は山間高冷地帯のため、夏は涼しく、冬はマイナス10℃の厳しい寒さが訪れます。この寒暖の差が、木目の詰まった、比重の大きい丈夫な木材を育てていることになっているといわれています。またこれは、推測ですが、阿蘇の火山灰を含む土壌も関係あるのではないかと思っています。山の傾斜がなだらかで高低差が少ないため、木の性質が揃いやすいという特性もあります。

また小国杉は、国立林業試験場において、国内初の実大引張試験等を実施し、国の木造設計基準数値45を大幅に上回る70という数値で、引張強度に優れていることが確認されています。

また第三者機関による持続可能な森づくり、製材加工の認証 SGEC認証を取得しています。板材の乾燥については、小国という土地の特性を活かし、地熱による木材乾燥に取り組まれています。50~60度の中温で緩やかに乾燥させることで木材への負担が抑えられ、建材として最適な状態で乾燥でき、木本来の色や艶が保たれます。また小国森林組合を中心に地域でうまく「小国杉」ブランディング化されている事、アロマの開発や、遊具の開発等々 林業界でも先鋭的な取り組みをされています。
小国の森や小国杉のことを知れる『小国の森づくりエコツアー』に一緒に参加しませんか?温泉による蒸し料理や、濃厚なジャージーミルクソフトクリーム等、美味しいお楽しみもあります^^。

小国盆地
構造材を地熱で乾燥させる。地熱エネルギーの豊富なおぐにならではの木材の乾燥方法
比重が重いのが特徴
持続可能な森づくりを行う団体への認証制度(日本独自)取得

『諸塚村の』の特徴

諸塚村は、林業そして椎茸栽培を産業とする宮崎県の村です。活動するNPO法人九州森林ネットワークの活動で知り合い、交流をさせて頂いています。諸塚村の森は、針葉樹7に対し、くぬぎやナラなどの広葉樹を3を混植する方針を村できめ、『伐っては植える』計画的に持続可能な森づくりを進め、春や秋には、山全体が、モザイク模様に色づく景色を楽しむことが出来ます。

た持続可能な森づくり、加工・流通を第三者機関が表すFSC認証を日本で初めて取得したのが諸塚村でした。FSC認証、SGEC認証取得の上、樹齢40~60年生の杉材(赤芯)を出荷前に1本1本ヤング係数を計測するなど、より良い材を出すしくみづくりをされています。

平成9年から産直住宅への取り組み、葉がらし乾燥にも対応するなど、魅力的な木の家づくりを一緒に楽しめる素敵な山のパートナーさんです。

また諸塚村の神楽を今まで何回も見に伺わせていただいています。神楽の内容は、山の神と村人の関りがいくつかのエピソードで語られるもの、またいつも仕事で、関わらせていただいている皆さんが神楽を回れる姿に、感動すると同時に、林業という生業と、地域と、文化が今も一体となる素晴らしさを知り、かつてあった日本の素晴らしい景色をみることができる素晴らしい体験です。木の家の故郷を知る体験を一緒にいかがでしょうか?

モザイク相林 春や秋には色づき浮かび上がる
葉がらし乾燥
FSC認証材
FSC認証マーク

「耳納連山の杉」~岩佐製材所さんの材 の特徴

福岡県 築後地域の耳納連山で、育つ杉,  耳納連山のふもとで、山を持ち、管理、乾燥、製材、加工までを一貫して行っている 岩佐製材所さんの材をご提案しています。

〇岩佐製材所さんは、山の管理からから木材の加工まで一貫して行っている事

〇木造住宅一棟分の材をすべて調達、加工することができる事

それは、例えば一軒の木造住宅を同じ産地~同じ方の加工で行っていただける、、

これは木の色合い、特徴などが調和し、その空間で過ごす方に快適に感じることに大きく貢献します。

多くの製材所は、特定の材を専門的に挽いており、ある程度の規格にそった加工が中心です。一棟のあらゆる部分の材を加工するとなると様々な機械や技術が必要になるからです。そんな中、岩佐製材所さんは様々な要望に応えて頂いています。

また岩佐製材工場さんは、自社で山林を所有されていることから、加工する原木の6割は自社山での原木とのことで、山から材の加工まで関わられていることは、とても珍しく、生産者さんの顔がはっきり見えることになります。

〇こだわりの「天然乾燥」

山から切り出した木をどのように乾燥し、加工するのかは、良質の建築用木材とする為にとても大切なポイントです。

こだわりの【天然乾燥】方法は、葉の付いた木を切倒し葉から水分が蒸発させる「葉枯らし」、その後製材所での「桟積み」「はさ掛け」行い太陽と風で時間をかけて乾燥させる。その為、木材本来の色艶が一層美しく現れ、
木材内部まで均一した精度の良い乾燥が可能なため良質な木材となります。
 現在は時間短縮の為、多くの製材所は化石燃料を使い機械乾燥、中には高温での乾燥から 木がもっている本来の力(粘りのある強さや、香りや調湿性能など)を失ってしまう乾燥をおこなっているところもあります。

現代の建築事業に対応できるように、岩佐製材所さんでは、一般的に建築に使われる木材を予め乾燥させ在庫として用意されています。

木の持つ力や美しさを活かす岩佐製材所さんの天然乾燥材の色艶の良さは、本当に素晴らしいです。

□循環する山づくりへの取り組み

岩佐製材所さんは、循環する山づくりへの取り組みを更に進められるため、山林部門を独立させ新しい会社 『福木林産』さんを立ち上げられました。

木材利用だけでなく、植林から伐採、未来への循環する山づくりをすすめられています。

そんな岩佐製材所さんの愛情を木材に感じることができる素晴らしい材はお客様に喜んでいただいており、皆さん(岩佐製材所さんのお顔を思い浮かべながら^^)木の空間を愛着をもってお手入れされています。

 

 

 

 

 

穏やかな耳納連山
耳納連山の麓 岩佐製材所さん
一次製材のあとの桟積み乾燥の様子 約4,5ヶ月天日にさらします
製材加工場